新しい執筆です。「現代戦研究2026」

 元幹部自衛官有志による「現代戦研究2026」(Amazon出版)に「グレーゾーン常態化と新たな抑止思考」という題で寄稿しました。
副題で「攻撃(侵害)の成立を阻止する抑制」です。

 ここ数年間、サイバー戦及びサイバー安全保障を中心に執筆活動や講演活動を行う中で、「グレーゾーンが常態化する」戦略環境における「新たな抑止」思考の必要性を強調してきました

 本論考では、まず、抑止戦略の土俵である国家間の戦いの本質について考察します。その際、先人の教える「普遍的真理」から見た、すなわち現代のグレーゾーンでも変わらない本質を考察します。次に、絶対戦争から制限戦争へ、さらに情報化社会への変革の影響を受けた現代の国家間の戦いの変化、すなわち戦争・紛争を含む国家間の戦いの形態の変化を明らかにします。その中で抑止が機能しなくなる戦略的背景を考察します。

 次に米国の戦略思考の変化を捉えて、グレーゾーンが常態化する戦略的背景の特徴から、拒否型抑止、報復型(懲罰型)抑止等の従来の抑止に代わる「新たな抑止」思考、特に「物理的及び非物理的な侵害」に対して脅威が顕在化する前に侵害を阻止する、すなわち「攻撃(侵害)の成立を阻止」するという考え方とそのために国家の諸機能・諸活動の横断的・総合的な力の発揮である「国家総合力」の運用をもって阻止する考え方からなる「新たな抑止」思考について整理しました

 米国の前方防衛の戦略(「前方防衛戦略」)には、従来のサイバーセキュリティに重きを置く「拒否型抑止(国家レジリエンス)」思考と「攻撃者に対する懲罰型(報復型)抑止」思考ではサイバー攻撃を実行する政治的な閾値の比較的低い破壊的なサイバー攻撃(被害)は未然防止・抑止できないという課題を克服する糸口があると考えました。拒否型でも報復型でもない「新たな抑止」の糸口と考えます。